未来トレンド · · 約 3 分で読めます

国内 LLM の内製化競争——NTT・KDDI・LY Corporation が目指すもの

国内 LLM の内製化競争——NTT・KDDI・LY Corporation が目指すもの

国内の大規模言語モデル(LLM)開発は、2024 年以降に通信キャリア 3 社(NTT、KDDI、LY Corporation)の主導で産業化フェーズに入った。クローズドなグローバルモデル(OpenAI、Anthropic、Google)の優位性を前提に、日本勢は業務特化と日本語特化、そして公共セクター需要の取り込みに戦略を絞っている。

## NTT tsuzumi——軽量・日本語特化

NTT 研究所が開発し、NTT DATA が販売する tsuzumi は 2024 年に商用提供を開始した。研究所公表資料によれば、tsuzumi は 7B パラメータ(軽量版)を軸にし、日本語ベンチマークでの性能と運用コストのバランスを重視する。NVIDIA GPU 1 枚で推論が動く軽量性を訴求点としている。

## KDDI と ELYZA

KDDI は 2024 年に東京大学発スピンアウトの ELYZA を子会社化した。IR リリースによれば、AU の顧客サポート業務、請求書問合せ、契約サービスの自動化など、自社業務に内製 LLM を組み込む運用モデルが主眼だ。

## LY Corp のハイブリッド戦略

LY Corporation(LINE + Yahoo 経営統合)は、韓国ネイバーが開発した HyperCLOVA X をベースに、日本語ファインチューニングを加える方針を示している。同時に、LINE サービス上では OpenAI API も並行利用する。統合報告書では、モデル選択は「ユースケース単位で最適化」と明記されている。

## 公共セクター需要の構造

公共セクターや金融、医療機関では、機密データの海外クラウドへの送信に法制度・ガイドラインの制約がある。日経 xTECH の特集でも、省庁・自治体・医療機関の利用環境を取り上げた記事で、クラウド型海外 LLM への送信が制約を受けるケースが繰り返し指摘されている。この領域は、オンプレミスやプライベートクラウドで動く国産 LLM の商用余地となる。

## 共存シナリオの読み方

もっとも、GPT-5、Claude 4.5、Gemini 2.5 などのフロンティアモデルと国内モデルの汎用性能差は、2024 年以降むしろ広がっている。裏を返せば、国内 LLM の経済合理性は、汎用性能ではなく、業務特化・日本語特化・運用コストの 3 点に集中するほかない。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *